2019年03月17日

山が好きな人にも、そうでない人にも。「岳」のススメ。

先日、主人宛に、Amazonからの荷物が届きました。
主人は家にいなかったので「何か届いたよ〜」とLINEで連絡したら

”岳”っていう登山漫画を古本で買ったんだよ。
俺もよく内容知らないんだけど、登山好きの人がよく勧めてるからさ。
開けて読んでいいよ」

と言うので、私と子供たちとで「全18巻」の漫画を読み始めましたが…


いや、こんな素晴らしい漫画、ひさしぶりに読みました。


私はクールなのか、物語を見たり読んだりして泣くことは、めったにないのですが…
「岳」を読んでいる時には、何度かぽろぽろと涙が出てしまいました。

岳(3) (ビッグコミックス)
岳(3) (ビッグコミックス)

まず、主人公「島崎三歩」という青年が、本当に魅力的なのです。

「島崎三歩」は、山が大好きで、年中山にテントを張って住み、ボランティアで山岳救助をしています。
ふだんは「天然」で、能天気なことばかり言っていますが…助けを呼んでいる人がいれば、どんな厳しい状況であっても、すぐに助けに行くのです。
そしてものすごく登山&救助のスキルが高く、遭難した人を見つける知識、カン、行動力が半端ありません。

そして、どんなに「自業自得」な遭難者であっても、遭難者を発見した時は必ず
「良く、頑張った!」
と声をかけます。
たとえ、それが遺体となっていても…。

そして、助けた人と別れる時には、満面の笑顔で
「また山においでよー!」
と、言うのです。

遭難という危険な目にあったからといって、山を嫌いになってほしくない…
本当に三歩は、山が好きで好きで仕方ない…のでしょうね。


しかし、山岳救助の話だけに、内容は相当ハードです。

必ずしも助けられる人ばかりとは限らず…
発見した時は生きていても、背負って搬送中に亡くなってしまう人もいれば…
遭難から半年経っていて、すでに腐乱死体になっている人もいました。

ヒロインである「椎名久美」は、長野県警察の山岳遭難救助隊隊員です。
物語の当初に山岳遭難救助隊に配属されてきて、最初のうちは、ハードな現場に心折れたりしていますが…。
三歩と出会い、救難の経験を積み重ねていくうちに成長していきます。

この久美ちゃんの話もまた、いいんだなあ。


いろんな人が、いろんな理由で山に来て…
「何か」を得て帰っていく。

私は「いわゆる泣ける話」って、好きじゃありません。
なんだか作り手の意図が見え見えで「はいはい、泣かせたいんだよね」って冷めた感じで見てしまいますが…
この「岳」は…そういうのとは違うんです。「いい話」なのに、押しつけがましくないんです。


他に出てくるキャラクターも魅力的な人ばかり。

三歩とは違い、自業自得の遭難者には厳しい言葉をかける、山岳救助ヘリの
でも、ヘリの運用を熟知していて…警察のヘリや他の人では行けないような、厳しい遭難現場に、可能な限りかけつけてくれるのです。

久美の上司である、長野県警、山岳遭難救助隊の野田隊長
いつも冷静で的確な判断をするプロフェッショナルです。
一見部下に厳しいようですが、しっかりみんなのことを見ているのです。
活躍する場面はあまり多くないのですが、ちゃんと締めるところは締めてくれるキャラ!って感じです。

三歩が救助したけれど、まもなく息絶えてしまった男性の子供「ナオタ」
山で遭難した父のもとにヘリでかけつけ、亡くなった直後を見たという壮絶な体験をしていますが、しっかり立ち直って元気に暮らしている強い子です。
両親は離婚していて、父と住んでいたのですが、祖父母の家に暮らすことになりました。三歩を「山のお兄ちゃん」と慕い、家族のように交流しています。
このナオタの成長物語がまた、いいのです。
自分が「子供の親」だけに、ナオタの話はぐっと来ますねえ〜。


他にもたくさん魅力的なキャラがいますが…きりがないので(笑)


まあ、とにかく、三歩が素晴らしいキャラクターなんですよね。
毎回のように、誰かが命の危険にさらされるような厳しい話なのに…
三歩が怒っている場面は全然、ないんです。
そして、どんなにピンチになっても…泣いたり、めげたり、腐ったりしない。

遭難した登場人物が、誰も気づかないような場所で動けず
「もう、ダメかも…」
とあきらめかけた時に、ひょっこりと
「寒かったね!」
とひょうひょうと現れるスーパーマン。
それが三歩なのです。


こんな人、本当にいるわけない。
漫画だから、作り話だから、描けるんだ。

そうわかっていながらも…

「こんな人が本当にいたらいいなあ…」
そう、感じさせるキャラクターなのです。

岳 15 (ビッグコミックス)
岳 15 (ビッグコミックス)

最初のうちは、三歩の「自業自得な遭難者に対しての甘さ」に腹を立てていた久美も…
久美自身が遭難してしまうという経験もあり、三歩にいろいろと影響を受けながら…
「優しく強い、頼りがいのある山のお姉さん」に成長していきます。


この漫画を読むと、山の怖さは痛いほどわかります。
クライミングなどの危険な登山だけでなく、普通の山登りでも、ほんのちょっとした油断で、人は簡単に死んでしまうのだと言うことも…。
ある意味、山が怖くもなりますが…

あれだけ人が亡くなっているところを見ているのに、それでも三歩が、好きで好きでしょうがなかった山。
それだけの魅力があるのだろう、とも感じます。


私はまだ、富士山以外の高山の登山をしたことはありませんが…
三歩のいた山に行ってみたいなあ…
と思いました。


ただ、この話の最終回はかなり賛否両論あったようです!
でもきちんと作者が考えたうえでの完結だと思います。私は納得して読みましたけど…。
きっと読者のみんなが、三歩を好きになりすぎたから…
だからこその「不満」なのかなと、私は思っています。


この「岳」は、山には別に興味ない、って人が読んでも、十分に面白い話だと思います。とてもおすすめです。

…うっかり、山に登りたくなっちゃうかもしれませんけどね!(笑)


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posted by はなずきん at 20:18 | Comment(0) | 登山よもやま話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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