さて、次は準決勝の「西村選手(熊本) 対 畠中選手(東京)」です。
私は今まで、ここまで詳細に剣道の試合を見たことはありませんでしたが…
今回、ビデオでスローで分析をしてみたら、今までとは違う楽しさがありました。
私自身は、基本打ちは前よりは上達したと思っているのですが…
いざ立会いとなると、いつ、どこに打って行っていいのか全然わからず、ほとんど「一本」が取れないのです。
「立会いになるとミョーに力が入ってしまって上手くいかない」
「当たっても姿勢が悪かったりして、気剣体が一致していない」
ということもあると思うのですが、
それに加えて、相手とのかけひきというのがまだ全然よくわかっていないのです。
よく”打つ前に「攻めろ」”とか”「誘え」”とか言われますが…
まだ私は全然、そんな域に入っていません(汗)
しかし、この全日本選手権の試合をスローで見ていると、選手たちはかなりビミョーな竹刀の動きでお互いのやりとりをしているようです。
一足一刀の間合いでの中心を取る攻防から、いざ打って入った時のお互いの動き…などなど、スローで見ないとわからないくらいの短時間の間に、かなりいろんな動きをしているのです。
竹刀を叩いたり、押したり、抑えたり、あえて剣先を開いたり、相手の動きに反応したりしなかったり…などなど、ただ中心を取ろうと動かしているだけの私などとは違って、戦略を練った上での動きだったり、あるいは今までの経験に裏打ちされた反射的な動きをしているのだろうなあ、と思いました。
私もそのうち「相手の動きを引きだして打つ」ようなことができるようにならないと…。
今までのように「たぶん空くと思われるところに打ちに行く」のでは、なかなか一本が取れない気がします。
こうやって、他人の試合の分析をすることで、自分に何かつなげることができれば…と思いました。
さて、西村選手対畠中選手の試合ですが…
前半はふたりとも、あまり動きがありませんでした。
鍔迫り合いの時間も長く、やや距離を詰めての膠着した状態が続きます。
しかし、試合開始後6分位の時に、動きがありました。
西村選手は、試合場の内側を向いてややライン寄りに立っていました。
対峙した畠中選手が前に出ていき、西村選手は下がり、西村選手はライン際に追い詰められているかのように見えたのですが…
その時、下がる一方だった西村選手が一瞬、前に出ます。
…と思ったら一歩後退し、そこで西村選手は竹刀を真正面の手前に引き上げました。面を打つ時のような軌道です。
その時、畠中選手が、面を打とうとして手元を上げたところに…
すかさず、西村選手の小手が入りました!
畠中選手は、小手を打たれた後にも面を打とうとしましたが、西村選手が小手を打つなり、素早く体当たりしてきたので、面は入りませんでした。
この西村選手の小手は、かなりキレイに入っていて、手首のあたりから、筒までをなで斬るような軌道でした。スローで見ても見事に入っています。
審判は、二人がさっと赤(西村選手)を上げ、ひとりはなぜか白をあげてから、赤を上げ直しました。
(たぶん、単純に左右の旗を上げ間違えたのかと思います…)
テレビの解説ではこれを「出ばな小手」と言っていましたが、畠中選手が先に面を打とうとしたのではなく、まず西村選手が竹刀を引きあげて、それに誘われて畠中選手が手元を上げたところを打ったように私には見えました。
西村選手は、試合場のラインをあえて背後につけて、勝負に出たようでもありました。
相手の「打っていきにくさ(打った勢いで場外に出やすいから)」を考えたのか、「追い詰められたフリをして相手を誘った」のか。
さて、ここまではわりと膠着した試合運びでしたが…
一本が入った後は、畠中選手が積極的に打って出てくるようになりました。
何回かお互いが打って入らないのが続いた後…
ふたりが対峙している時に、西村選手は突然竹刀を斜め上に振り上げました。
畠中選手はその前に特にアクションを起こしていなかったようなので、西村選手が何をしようとしたのか、私には全くわからないのですが…
(面や小手を打つ軌道には見えませんでした)
そこで空いた西村選手の胴に向かって、畠中選手の竹刀が振り下ろされます。
が、これは下のほうにそれてしまい、胴には入りませんでした。
胴を打った後、畠中選手は素早く後ろに下がりましたが、その勢い余って場外に出てしまいました。
ここで、畠中選手は場外の反則を取られます。
あと一回反則したら、畠中選手は「二本負け」で試合は終わってしまうという状況になり…
試合の流れがまた変わったようです。
反則の宣告後、ふたたび試合が開始されましたが…
その後、西村選手は「竹刀を巻いて」きて、畠中選手は竹刀を落しそうになりました!
右手は離してしまいましたが、あやうく左手一本でもちこたえ、竹刀落としにはなりませんでしたが…。
「あと1回反則を取ったら勝利決定」という時に、竹刀落としの反則を狙ってきた西村選手。
反則を狙って一本にして試合終了、というのはちょっとズルいかなあ、と私は感じてしまいますが、これが勝負の世界というものなのでしょうねえ。
その後、西村選手が竹刀を斜め上に振り上げ、畠中選手が打ってきた竹刀が当たり、そのまま鍔迫り合いとなりましたが…
そこで審判の「やめ」がかかり、合議となりました。
会場で見ていた時には、私はなんで「やめ」がかかったのか、わかりませんでした。
テレビの解説では「時間空費の反則」と言っていましたが、そんなに長時間の鍔迫り合いをしていたようには見えなかったからです。
ビデオで確認したら、鍔迫り合いの時間自体は7秒くらいしかありませんでした。
審判の合議の後、西村選手に「反則」が言い渡されました。
でも、何の反則だったのかはっきりしません。
会場に一緒にいたSG先生は
「あれは、裏交差していたからでしょう。わざとやっていたようですからね」
とその場で言っていたのですが、私にはそこまでよく見えなかったので、ビデオで確認したところ…
西村選手は、鍔迫り合いの途中から、相手の竹刀を裏から抑えるようにひっかけていました。
ひっかけていた時間は、4秒くらいですが、これは「わざと」に見えます。
これもある意味では「時間空費」ではありますが、直接的には「裏交差をして(相手の竹刀の動きを妨害して)いたから」が反則の理由ではないかなと思いました。
一本取ってからは、やや「守り」に入っていた西村選手ですが、この後は積極的に打って出ます。
自分もあと一回反則を取られたら、引き分けで延長になってしまうからでしょうか。
畠中選手も積極的に打ってきています。
しかし、残りが1分を切った頃に、また西村選手は「守る一方」に入ったように見えました。
打ってくる畠中選手を「見切って、かわす」動きが中心になったようです。
私は「試合時間が残りあとどのくらい」という感覚は、まだあまりついていないのですが、このくらいのレベルの選手になると、しっかりそのあたりは計算しているのでしょうね。
西村選手はあらゆる手段を使って勝とう、と試合を運んでいるのでしょう。
残念ながら、あまり私の好みの剣風ではないのですが…
でも、ただの「計算」だけではここまでは来られないでしょう。
まあ、こういうのも「アリ」かなと思います。
…そこで、時間となり、試合は終了。
西村選手の「一本勝ち」となりました。
西村選手、決勝進出です!
(決勝戦へ、続く!)
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