2017年11月05日

母と子の剣道日誌(233)K会の大人合宿(番外編その1)SZ先生の考え

母と子の剣道日誌(231)K会の大人合宿(その8)八段範士のご自宅へ より続いています。


OT先生をおいとました私たちは、SZ先生の車で自宅へと向かいました。
帰りの車で話したことが、今回の話題なのですが…
合宿の内容とはあまり関係ないので「番外編」として綴りたいと思います。


SZ先生は六段で、SN先生とお二人で、当会の子供のメイン指導を行っていらっしゃる先生です。

現在41歳と、当会の先生としては年齢的には若手のほうですが、かなり前から当会で教えていただいています。たしか当会の先生となってから、20年近いはずです。



SZ先生は小学校の時からお父様と一緒に剣道をしていたそうですが、子供の頃は厳しい稽古に行くのが嫌だったそうです。ですから、子供が稽古を嫌がる気持ちはよくわかるのだとか。

今の会では、子供たちが稽古に来るのを楽しいと思って欲しい、と考えているそうで、時々ドッジボールをやったり、夏場はいつも稽古の時にアイス(凍らせて飲む”チューペット”というものですが)を差し入れてくれたりと、子供が喜ぶようなことをいろいろ考えてくれています。

SZ先生は性格は超マイペースで、教え方もユニークです。
思い付きで行動したり、言ったことを忘れていることがよくあり、周囲が振り回されることも多いのですが(^^)、それでも不思議と許されてしまう、独特のキャラクターを持っている方なんですよね。



ところで…
今回の合宿の「審判法講習会」では、実際に試合をしながら、審判の練習をしました。
審判のやり方を学ぶ、ということのほうがメインでしたが、六段以下の方の全員(20名位?)が参加したトーナメント形式の試合を行い、SZ先生は準優勝をしたのです。


「神戸のおばちゃん」KDさんが、帰りの車の中でSZ先生にたずねました。


「SZ先生は、試合の時、いつも冷静に見えますけど…
ああいう時って、いったいどういう心境でやっていらっしゃるのですか?
内心では”勝ちたい”とか考えているんでしょうか。
私、試合の時は内心がホントにバタバタしちゃっているので、どういう心持ちでいたらいいのかと思って。」

「試合の時ですか…。
僕は、あまり「勝ちたい」って気持ちはないんですよね。
試合の相手に向かっていってるというよりは、(大人担当の)N先生と稽古している時のことを思い出しているんです。
N先生に注意されるような、”今は本当に打ちに行っていい時か”とか”打つ形はきちんとできているか”とか、そういう事を考えながらやっているんですよ。

勝ちたい、勝ちたいって思っていると、力が入って崩れてしまいますよね。
試合という場で、いかに、稽古で学んだ事が出せるか…ということを考えているので、相手と戦うというよりは、自分との戦いなんだと思いますよ。



なるほど…。
SZ先生は、どこか超然としたような雰囲気で稽古や試合をしているように見えます。
試合に負けたからといってすごく悔しそうにしていることも、ほぼないのですが、
それは、こんな風に考えていたからなのか、と思いました。


引き続き、SZ先生はこんな話をしてくれました。


「僕は、今はたまたま剣道を教える立場になってますけど、だからといって偉いわけでもなんでもないんです。
剣道が強い人が偉い、という考えの先生もいますけど、僕はそうじゃないと思うんですよ。

前に、僕の剣道仲間から言われたことなんですが、

『剣道が強いからって、社会人としてきちんとしてなかったら意味がないんだよ。
剣道が強いことよりも、人として恥ずかしくないようにしているほうが大事だ』


って。
それを聞いて、なるほど”そうだな”って感じて、そのことをずっと心に留めているんですよね。


剣道の先生の中には、強いことが一番大事で、強い子こそが偉い、すごいって言って、強い子ばかりを引き立てる人もいますけど…。
そういう、強い子だけが先生にほめてもらえるようなところで剣道をやっていると、強くはなれるかもしれませんが…そういうところだと、子供は周囲の子を蹴落とすことばかりを考えてしまって”仲間”ができないんですよ。

剣道をやって強くなることよりも、一緒に剣道をやっている奴らと”仲間”になれることのほうが、僕は大事なことだと思うんです。
僕が今でも付き合っているのは、そうやって学生時代に一緒に剣道をしていた仲間たちですから。


確かに、強い子はすごく努力もしているんでしょうけど、もともとの能力の差っていうのもありますから、一生懸命やっていても強くなれない子もいますよね。
でも僕は、「全然稽古に出てこないけど強いヤツ」よりも「稽古に出てがんばっているけど弱いヤツ」のほうがいいと思うんです。
僕は、そういう子のほうが好きですね。



僕は、先生をすごくやりたいって思ってやっているわけじゃなくて、本当はそろそろやめてもいいかな…って思っているんですよ。

でも、前にうちの会で育っていった子が、大きくなってまた会にひょっこり顔を出したりしてくれるのが嬉しいんです。
その時に「ああ、あの時の先生がまだいる」って思って、懐かしいなって思ってもらえたらいいな。
そういう場所があるのがいいな、と思って、先生を続けているんです。」



私は、当会に入会した時からSZ先生も、SZ先生の稽古も好きですが…
今回この話を聞いて、あらためて、やっぱり、SZ先生っていいなあ、って思いました。

私の場合は「剣道が強い=カッコイイ」なので、剣道が強いSZ先生はカッコイイ、と思っていることも多分に好意につながってはいますが…(笑)
それだけではなく、先生がこういう考え方をしていることが、うちの会の間口の広い雰囲気を作っているんだなあ、と思ったのです。



SZ先生は、稽古の中で「勝てるようになるための技術的なアドバイス」もいつも的確にしてくれます。
それは、他の先生からはあまり言われないような内容であることが多いのですが、SZ先生はそれぞれの生徒のウィークポイントをよくわかっていて、それを直すような稽古をつけてくれるのです。

私も、これまで何度も、そういう稽古をしていただいたことがあります。
例えば「打つ瞬間、打たれる瞬間まで、必ず相手から目をそらさない。」とか。

そう言われてみると、私は打たれる時や打つ時に、無意識に相手から視線を外してしまう癖があるのです。
(言われるまでは、あまり気にしていませんでした…)
でも、相手から目を離したらきちんと当たるわけがないし、よけられないですよね。

「剣道の技術以前」の問題だからこそ、なかなかそういう事を指摘してくださる先生は少ないのですよね。

SZ先生の指摘には、いつも
「なるほど、今の私にはそこが足りなかったのか」
と、はっとさせられます。



でも…
SZ先生の稽古の目的はきっと「勝たせること」そのものではないんですね。


上手くなりたい、強くなりたい、と思っている人に対して
「勝つための技術と精神力をつけるために、どうやればいいのかを教えて、手助けしたい」
のではないかと。

それで強くなれれば一番いいけれども、強くなれなくても、努力をすることで精神的に成長できたり、仲間と一緒に楽しく過ごせたりすることが大事なんだ。

そう、SZ先生は考えているのではないかな、と(私が勝手にですが)思ったのです。


合宿の帰り道はそこそこ渋滞もしていたりと、帰りつくまでにけっこう時間がかかったのですが、
そのおかげで、こういう話が聞けてよかったなあ…と思ったのでした。


(続く)

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posted by はなずきん at 23:47 | Comment(2) | 親子で剣道4剣友会編(二段まで) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして^^
いつも楽しく拝読させていただいております。

私は剣道を再開して間もないのですが、
だんだんと「この歳で再開して何になるんだろう」と
疑問に思うこともあったり、少し迷走しかけていただけに
こちらの記事は非常に心に響きました。
自己鍛錬が本質と分かってつい忘れてしまいがちになるので
初心にいつも戻れるよう無心に稽古に励みたいと思います。
Posted by もくめ at 2017年11月06日 09:25
もくめさん

はじめまして!
知り合い以外からコメントをいただくことがあまりないので、どんな方に読んでいただいているのかな…と思っていました。
コメントいただき本当に嬉しいです。

SZ先生は、最近、何度も不合格された後に六段を取得されています。
子供の頃からほぼずっと剣道を続けているし、子供に教えている経験も長いのですが、決して「剣道一筋」の生活ではないのです。
だからこそ、その言葉には重みがあるなと感じました。

もくめさんにも、何か感じていただけたのなら、書いた甲斐がありました。


もくめさんは、リバ剣の方なのですね。

大人になってからの剣道は「勝つこと」に目標を置いてしまうと、リバ剣の方といえどなかなか難しいですよね。

私などは、試合に勝ったこと自体、ほとんどないので…
少しずつでも上達することができて、稽古が楽しければ、それでいいのかなと思っています。

お互い、これからも長く、剣道を楽しみたいですね!
また、何かコメントいただけたら嬉しいです。
Posted by はなずきん at 2017年11月06日 13:00
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