2015年06月21日

少年剣道に入会する前に(6)剣道で身に着くもの(その2・体力と精神力編)

今回のテーマは「剣道で身に着くもの(その2・体力と精神力編)」です。


これから書くことすべて「会によってかなり違う」という前提でお読み下さい。
同じ剣道の道場、教室といっても、指導形態や指導者の資質によって、指導方法もかなり違います。
最終的には、実際に自分が入会したいと考えたところに見学に行き、自分や子供の目的に合う教室かどうかよく見てみてください。



【体力はどのくらいつくのか?】


まずは当たり前ですが、基本的に稽古日数や時間が多いところのほうが体力はつきます。
最低でも週2日くらいは稽古しないと、なかなか体力向上にはつながりません。
しかし、同じ日数、同じ時間だとしても、メニュー内容によってかなり差が出てきます。

基礎体力をつけるような、ランニング、素振りなどに時間を割いているところのほうが、体力がつきます。そして、それが剣道の強さにもつながる事が多いです。
基礎練習は簡単に済ませて、試合っぽい打ち合いばかりをやっているようなところは、体力もあまりつきませんし、上達もしにくいです。

最初から「ある程度できる子」を想定して稽古を行っているようなところ(強豪チームに多いです)は、基礎練習がきつすぎて、子供によってはついていけないかもしれません。
それが嫌になってやめてしまっては元も子もないので、自分の子供のレベルと、会のレベルをある程度合わせることも必要かと思います。


一般論としては…

剣道をやると、体幹の力がつきます。
剣道の基本である、素振りやすり足をきちんと行うと、インナーマッスルが鍛えられます。どんなスポーツでも筋肉はある程度つきますが、剣道は他のスポーツより「内側を鍛える」動きの要素が強いような気がします。

私は腹筋が弱く、以前は「腹から声を出す」という事がどうしてもできなかったのですが、剣道を始めてから数か月で自然とそれができるようになりました。
また、気合い声を出すので、さらにそれが強化されます。
それまで重くて持ち上げることができなかった次男を、(横抱っこで)持ち上げることもできるようになりました。
それともちろん、腕力や脚力もある程度つきますし、持久力もつきました。

また剣道をやっている子はだいたい、背筋がピンとしていて姿勢がいいです。
稽古でそういう姿勢でいる事を要求されるから(姿勢は剣道においてかなり重要なポイントです)という事に加えて、基本の稽古である「素振り」や「すり足」に体幹の筋肉をつける効果があるからです。

あとこれは周囲の子を観察した範囲内での全くの私見ですが、剣道をやっていると背が伸びやすいような気がします。体幹の筋肉がつくからなのか、小さい頃から剣道をやっていると、成長期に背が伸びやすいのではないかなと。
身長が伸びるかどうかは遺伝的な要素もあるので、剣道をずっとしていても小さい人もいますが、”伸びる要素がある子はよりそれが強化される”のではないかと私は想像しています。

関係あるかどうかわかりませんが、45歳から剣道を始めた私も、1年くらいで1センチ身長が伸びたのです(笑)。その後は伸びてませんけれども。
これは「身長が伸びた」というよりは「姿勢がまっすぐになった」のかもしれませんが…。それにしてもこの年で身長が伸びることがあるのかとびっくりしました。


【協調性は身に着くのか?】

剣道は個人競技なので、協調性を身に着ける、という事だけを取るなら、サッカーや野球のほうが効果があるかと思います。
チームでやるスポーツに比べたら協調性を育むという面は薄いかと思います。人と一緒に行動する事も少ないので、入会して最初のうちは子供同士も打ち解けづらいように見えます。

ただ、稽古は一人ではできません。必ず組む相手がいますし、生徒達は同じ事をやらされているわけですから、それなりに協力しなければならない場面はあります。
団体戦では、お互い応援しながら、それぞれの役割(先鋒、大将など)に応じて試合に挑むので、一緒に試合をしているという連帯感も生まれます。
会によっては、上級生が下級生の面倒を見るようにしているところもあります。
ですから、長いこと一緒に稽古していくうちに、集団の中での過ごし方や、上下関係のこなし方?が多少は身に着くとは思います。


ただ、剣道はむしろ「独立心」をつけている面のほうが強いかなと思います。
子供が協調性がなくて困ってる、それをなんとかしたい、という場合であれば、剣道はその目的についてはあまりお勧めではありません。

また、下のほうでも書いていますが、試合は基本的に「自分一人の力でやるもの」なので、常に周囲の顔色を伺わないと行動できないような子には、あまり向いていないかもしれません。
そういう子に自主性をつけていきたい、ということならやらせる意味はあるかと思います。
実際、自立心が芽生えてしっかりしていく部分もありますし、それがどうしてもできなくて嫌になってしまう子もいます。どちらになるかは、神のみぞ知るという感じです(笑)。



【精神力はどのくらい鍛えられるのか?】

剣道は個人競技なので、試合場に出たらば頼るのは自分しかありません。
試合中、周囲から助言などはしてはいけないルールになっています。
試合中に防具がずれたりした時も、直すのは自分です。
小学生は、最初は防具をきちんとつけるのはかなり難しいのですけれども、基本的には周囲は手伝ってくれません。

そして、どういう試合運びにするのか、どういう技を出すのか、相手が何を考えているのか、どういう技を出してくるのか…考えて行動するのは全て自分です。
格闘技系はだいたいそうだと思いますが、剣道の試合に挑む時の緊張は、他の団体競技とは比べ物にならないくらいだと思います。気を抜いたら即打たれてしまうので、常に緊張状態にあるのです。
慣れてくるまでは、わずか2分の試合でもかなり精神的にも肉体的にも疲れます。

それにいろんな所作や防具のつけ方も自分でできるように覚えなければいけませんから、ただ運動神経がいいだけではできません。
そういった難しい事を繰り返し練習して、続けていけば、当然、精神力もついてきます。いざという時も自分ひとりでなんとかできるのだ、という自信もついてくると思います。

また、面をつけていると、周囲から入ってくる情報がかなり制約されますし、行動も自由にはできません。声も聞こえづらいので会話する事もめんどくさいくらいなのですが、その範囲内で行動をしなければならないのです。

また体育館などで稽古が行われるため、防具があるので夏は暑く、裸足なので冬は寒いです。あえて厳寒の時期に「寒稽古」などを行う道場もあります。
礼儀作法など覚える事も多く、正座も長時間させられることもありますし、竹刀で叩かれるので痛いです。きちんと当たればそんなに痛くないのですが、防具の部分から外されたり、相手が打ち方が下手だったりすると痛いのです。
最初のうちは素振りで手はマメだらけになると思いますし、防具をつければ体当たりなどもするので、あざや擦り傷程度のケガはしょっちゅうあります。
最近はちょっとのケガでも大騒ぎする子がけっこういますが、剣道をやっていると、小さいケガは毎回のようにあるので、ケガには慣れっこになるでしょう。
剣道は何かと「我慢」する事が多いものです。


またある程度上達してくると「地稽古(じげいこ)」や「かかり稽古」という、試合のように相手や先生にかかっていく稽古をするようになります。休む暇なくかかっていかなければならないので、かなり疲れる稽古です。
先生や会によっては、相当荒い扱いをされる(竹刀で突き飛ばされたり、転んでも叩かれたり、へとへとでも立ちあがらせてかかってこさせるなど)場合もあります。
体罰との境目が難しいところですが、いざという時に動けるようにする体力と、精神力を鍛えるためにあえてキツイ稽古をしているわけです。

どの程度厳しい稽古をするかは会によりますが、剣道そのものに「厳しい」面があるのは確かで、だからこそ武道なのだと言えます。
以上のことから、剣道をやることによって集中力、決断力、自主性などの精神力がつく…と言えるのではないでしょうか。

ただ、数は少ないですが、中にはなんでも「親がかり」の甘々な会もあります。
剣道に限った事ではありませんが、何かと親が手を出す、口を出してくるようなところでは、なかなか自主性が育まれません。ごく初心者を除き、小学校高学年以上で親が面付けを手伝ってあげているようなところでは、自主性がつくとは言えないでしょうね…。

親がべったり子供にくっついて回っているような会では、まともな「剣道」ができるとは思えません。親は運営に協力はしつつも、稽古や指導内容には距離感が保たれているところのほうが、子供の成長につながると思います。


【剣道が向く子、向かない子】

剣道は、頭をかなり使う競技です。
試合になれば、相手の手を読み、それに応じてどういう攻撃を仕掛けるのか考えなければなりません。
試合に勝てなくても本人が楽しければいいのですが、やはり全く勝てないと、大半の子供はやる気になれないでしょう。

そういう意味で、思考が幼くて、どうすれば勝てるのか…という事があまり考えられないような子には向いていないと言えるでしょう。実は、うちの娘がそうだったのですが…(笑)。

でも、もともと勝気で、とにかくガンガン攻めて行くようなタイプの子は、小学校中学年くらいまではわりと勝つことができます。高学年くらいになってくると、それだけでは勝てなくなり、頭を使える子が強くなってきますが。

運動神経はもちろん、いいほうがいいに決まっていますが…
でも、運動神経がさほどでなくても、試合のやりようによっては勝てる事もあるのです。
そういう意味で、運動神経がさほどでなくても、考えてこつこつ努力を続けるタイプの子には、剣道は向いていると言えます。
そういうタイプの子は、上手くなるまでにはちょっと時間がかかりますが。

体が大きい、小さいは勝負にはさほど関係ありません。
大まかに言えば、背が高く体格ががっしりしているほうが勝ちやすいという傾向はあります。
しかしそれぞれの体格に応じて向く技、向かない技がありますので、背が高いから必ず勝つとか、背が低いから負けるというわけではないのです。

背が高い→面が打ちやすい、腕が長く歩幅が広いので遠くからでも技を入れやすい
身が軽い→素早く技を入れたり、かわしたりしやすい
どっしりしている→打ちが強く、体当たりでも相手を崩しやすい

実際、次男が警察で一緒だったK君は小柄ですが、小手を狙わせたらその早さと正確さはスゴイです。
身長が低い子は相手の「面」を狙いづらいのは確かなのですが、小手だけでもどんどん勝ち進んでいくK君は、市民大会は優勝が当たり前で、都大会レベルの子なんですよ。幼稚園の年長さんの頃から、中学生の子と対等に戦っていたくらいです。
もちろん、勝ちたいという意識も強いし、すごい努力もしているようですけれども。
体格だけでは勝ち負けは決まらないのが、剣道の面白いところです。

他のスポーツではあまり芽が出なかった、という子でも、剣道には向いているという場合もあります。その子の特徴をうまく生かすことができれば、勝機はあるのです。

うちの次男は、体も小さいし細めだし、なかなか筋肉がつかないタイプです。
外遊びより内遊びが好きで、学校の休み時間も校庭で体を使って遊んでいる事はほとんどないようです。
運動音痴というほどではありませんが、決してスポーツが得意なほうではないのです。しかし剣道はそのわりにはできているほうだと思います。

経験が長い同年代の子にはほぼ勝てませんが(笑)、同じくらいの経験年数の子にだと勝てる時もあります。多少頭を使って考えているからかなと思います。
気合いの声も出てますし、武士っぽいのもカッコイイとは思っているようです。

ただ、こつこつ努力するのは苦手で、面倒くさがりなので、すごく向いている…というわけではないのですが(笑)それは剣道に限った事ではないし、他のスポーツはまずやりそうにないので、そういう意味で次男にはまあまあ剣道が向いているのかなと思います。

次男と同じ学年のRS君は、お父さんいわく「ボールの扱いが下手だった」そうです。最初、サッカーをやらせていたのですが「こりゃだめだ」と思って、小学校4年くらいで剣道に転向したのだそうです。
RS君はがんばりやで、6年生ではリーダーになり、そして剣道のほうも市大会で入賞するくらいになりました。だから、他のスポーツがダメでも、可能性はあるのですよ。

小中学生の女の子で、失礼ですが「相撲取り?」くらいのでっぷりした子が、動きはそんなに素早くないのに、打ちが強かったり体当たりが効いたりするので、それで勝っていたりもします。
剣道は素早いほうが勝つんじゃ?と思われがちですが、案外そういう子もいるのです。


お子さんが剣道を好きになれるのであれば…
たとえば武士が好きとか、友達と一緒が楽しいとか、何か「勝敗」以外のモチベーションがある場合は、強くなれなくても続けていけるでしょう。
強くならなかったとしても、礼儀作法やがんばりが身に着けられると思います。

ただ「試合に勝てる子」ということに絞れば、やはり「負けず嫌い」な子が圧倒的に多いです。ふだん、やんちゃすぎて扱いに困る、くらいの子はけっこう強くなる可能性が高いです。
負けた時に悔しい、今度こそは勝ちたい、と思う子のほうが、試合に強くなっていくと言えるでしょう。



【防具を付けるということ】

子供が剣道を始めるうえで、ややハードルが高いのが「防具をつける」ということです。
防具をつけずに素振りだけしているような初心者のうちは楽しくやっていても、いざ防具をつける段階になって嫌になっちゃった、という子はけっこういます。

まず、今時はそもそも「紐が結べない」子が多いのです。剣道は、道着もですが、防具をつける時もとにかく何回もヒモを結ばなければなりません。しかも、ぎゅっときちんと結ばないと、動いているうちに防具が取れてきてしまいます。
特に、低学年の子は、防具をひとりできちんとつけられるようになるには、けっこう時間がかかります。
剣道では「着装をきちんとする」というのが案外重視される部分で、級審査などでは、きちんと防具がつけられていなかったり途中で外れたりすると減点対象になります。まあ、小学生なら多少はできていなくても許されますが…。

防具付けが難しくて嫌になってしまい、やめる子もいます。
逆に、これがひとりでできるようになれた子は、剣道が向いていると言えるかもしれません。そこまで努力ができた、ということですからね。

防具をつけて試合に出れるようになっている、というだけでも、さまざまな事をクリアしてきているわけです。まるっきりの初心者から始めたら、公式試合に出られるようになるまでには半年くらいはかかります。きちんと教えるところだと、防具をつけるまで一年くらいかけることもあります。
ですから、試合に出られる、というだけでも子供にはかなりいろんな事が身についているのは確かです。例え強くなれなくても、「防具をつけて試合に出られる」ようになっただけでも十分剣道をやった意味はあるのでは、と私は思っています。


防具、特に面をつけた状態が苦しいことは、子供が剣道を嫌になる要因のひとつです。
慣れてしまえばそんなに気にならないのですが、最初のうちは暑苦しい、狭い感じがして、苦手な子はとても苦手だと思います。
でも、防具をつけて試合をしている先輩を「かっこいい!僕もああなりたい」と感じている子は、それでもやろうとするような気がします。何しろ、防具をつけなければ試合はできないわけですから…。
一回慣れてしまえば、そんなにたいした事ではないのですが、そこまでなるのはわりと大変です。

自分からやろうとして来た子は、それでもがんばりますが、親が「礼儀を身に着けさせようと思って」と言って無理に連れてきたような、やる気になってない子は、このあたりで挫折する事も多いです。
やっぱり、本人のやる気は大事です。

私は超暑がりで、動くと暑くなるのでコートなどもあまり着ないほうなのですが、なぜか面を付けた時の暑さは耐えられるんです。気持ちが「剣道モード」になっているからですかね。
でも、夏場など、外していいと言われたらソッコーで外します(笑)。ほんと、暑いんですよ!汗がだらだら出るので、美顔効果はありそうですが…。
でも、それだけに稽古が終わった後の爽快感は最高です。
稽古をすぐ面倒がる次男も「稽古の後のお風呂とご飯はサイコー!」と言っています(笑)



【他、剣道のいいところ】
幼稚園児から老人、男女関わらずできるものであること。

必ずしも運動神経や体力、体の大小などで勝負が決まるわけではないこと。

見た目が武士っぽくカッコイイところ(笑)

剣道は防具をつけて行うため、武道系の中では比較的ケガが少ないです。
ただもちろんケガがほとんどないというわけではなく、マメや擦り傷やアザができるなどは日常茶飯事です。大きなケガもないわけではないので、その点は十分理解して習わせていただきたいです。


【剣道のデメリット】

「勝つ」ことにのみこだわってしまうと、独りよがりな性格になりやすいこと。

道具を揃えるのにちょっとお金がかかること。
強くなって試合、遠征などに参加するようになると、お金がかかること。
(会によって試合、遠征などの頻度はかなり違います)

最初に覚えるべき事(所作や用語や防具のつけ方、試合のルールなど)が多くて、小さい子にはやや大変なこと。また幼いと「習ったことを理解してその通りやる」ことが難しいため、変な癖がついてしまい、成長してからその癖を直すのが難しいことがあります。
習い始めるのなら、小学校2年以上くらいがおすすめです。

防具や稽古着の手入れが面倒&臭くなりがちなこと(きちんと手入れすればわりと防げますが…)。

武道なので会の雰囲気がやや堅苦しいところが多く、また剣道に限った事ではないかもしれませんが、運営を保護者で行っている団体は、親の労力負担がそれなりにあること。



だいたいこんなところでしょうか…。

しかし、向いているかどうか、実際のところは、やっぱりやってみないとわからないものです。
会や先生、同じ会の生徒との相性もありますし…。

うちの場合は、運動神経良くて向いてるんじゃない?と思った娘は向いてなくて(汗)
体動かすの苦手だから、ダメなんじゃ…と思っていた次男のほうが向いていました。

私自身は、始める前に想像していたよりはできてないのですが(笑)剣道をやるのが楽しい!という気持ちはむしろ強くなっていますし、心配だった体力も、なんとかついていけています。
私の場合は年が年だし、もともと体力がないので、家でもランニングや筋トレ、素振りをしたりして、ついていけるように努力はしていますけれども。


親御さん、子供さん、どちらかが興味を持たれていて、それに合うような会を見つけたなら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
剣道には他のスポーツにはない、いい面がいっぱいありますので。


「剣道で身に着くもの」については、この回で終わりです。

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posted by はなずきん at 20:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 剣道お役立ち情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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