2020年01月25日

「白い魔境 冬富士」で、富士山に魅入られた写真家の話を見て。

今、NHKのBSプレミアムで、過去のNHKBSの番組を再放送するという「プレミアムカフェ」という番組をやっているのですが…
先日、それで2009年に「ハイビジョン特集」で放映された、「白い魔境 冬富士」という番組を見ました。

番組紹介では、以下のように書いてあります。

「富士山では厳冬期、夏の優美な姿からは想像できない異様な光景が生まれる。五合目から山頂にかけての大斜面が世界でここにしかない気象条件のもと、さまざまな氷の造形に彩られた別世界に変わるのだ。
標高差1000メートルを超える氷結した巨大な斜面と、そうした場所だからこそ発生する特異な現象。知られざる厳冬の富士山の全貌に迫る。」


これ、ハイビジョンの宣伝を兼ねて撮った番組なのでしょうね。
NHKのスタッフと、冬山に慣れている名だたる登山家たちの7名のパーティーで、ハイビジョンで撮影するのが目的の登山をしたという話なのですが…。


さすが冬の富士山だけあって、相当、条件は厳しいのです。
冬山の登山はどこであっても厳しいのでしょうが、富士山の場合は特に「風」が、登頂を阻むのです。

単独峰である富士山は、かなり激しい風にさらされています。風向もしょっちゅう変わりますし、突風もよく吹きます。
天気のいい時であっても、うっかりすれば、風に飛ばされて滑落してしまうのです。


番組の撮影スタッフは、最初は、12月に吉田口からの登山を考えて現地入りして、五合目の佐藤小屋まで登ったのですが、天候が厳しくて断念。
冬は北側から風が吹きつけるので、富士山の北側(山梨県側)である「吉田ルート」での登頂は無理だろうと判断して、次は静岡側の「御殿場ルート」からの登頂を試みますが…

その時も、七合五尺(番組では3000m地点と言っていましたが、見た感じでは、おそらく砂走館という山小屋の地点)までは登ってテントを張ったのですが、やはり風が強くて上に行くのをあきらめ、下山せざるを得ませんでした。
ヒマラヤ登山を経験しているようなプロ達でも、あきらめざるを得ないような状況だったのです。
もちろん、登る前に天候の変化なども予測しているのに…、読み切れなかったのでしょう。そもそもこの時期に頂上に登れる状態であることはほぼなくて、かなり気象条件のいい時でないと難しいらしいのです。

その次の、ふたたび御殿場ルートからのチャレンジの時にも、七合五尺で1泊した翌日に天気が悪くなり、丸1日、テントの中で天気の回復を待たざるを得ませんでした。その次の日に、ようやく、頂上への登頂に成功したのです。
頂上でも本当は1泊して撮影をする予定だったのだそうですが、天候の変化が激しくてそれも難しく、登頂したその日に下山せざるを得なかったようです。


しかし、普通の人が登ることのない、冬の富士山の映像をハイビジョンで堪能できたので…、
私はものすごく感動しながらその番組を見ていました。
見ている間ずっと、半分、口が空いていたかもしれません(笑)


自分が実際に登って行った場所もあちこちで出てきたので「ああ、あのへんだろうな」と思ったり。
剣ヶ峰にある「日本最高地点」という石碑が、半分以上が雪に埋もれているのを見て「冬はこんな状態なのか」と思ったり。(この年は、雪は少なかったようですが…)

「富士山の写真を見ただけで、どこから撮ったかわかるようにする」という「写真判定」のスキルも私はだいぶ上がってきまして(笑)、頂上のあたりの地形もだいぶ頭に入っています。
富士山の頂上で一番高い場所である「剣ヶ峰」がどこなのか、遠くから見ただけでもだいたいすぐわかるようになりましたよ。


そして、そのNHKのスタッフが登頂するのとは別に、番組の中で取り上げられていた、富士山写真家の話に…、私にはものすごく共感したのです。

それは「大山行男」さんという、まさに山の写真家にぴったりな名前の方なのですが(笑)
私は今まで知らなかったのですが、富士山写真家の第一人者なのだそうです。

大山行男 オフィシャルウェブサイト


この方の写真は、美術的にもかなり素晴らしいのですが、相当厳しい条件で、かなり粘り強く待ち続けて撮ったのだろう、と思われる写真もかなり多くて、その情熱っぷりにも感動してしまいました。

私が一番すごい、と思ったのは「冬富士の火口の中から撮った空の写真」でした。
オフィシャルウェブサイトの表紙にもその写真があるので、ぜひご覧になってみてください。

夏の登山シーズンの時は、火口の中には入れません。
富士山の八合目から上を境内地として所有している「富士山本宮浅間大社」によって、火口の中は「禁足地」とされているからです。火口は、神様がいる場所だからです。

しかし、冬は入ってもいいのだそうです。私はものすごく行ってみたいのですが、さすがに冬の富士山に登るスキルはありません(^^;
この番組を撮影する時も相当苦労したようですが、冬に富士山の山頂まで行く、というのは、かなり難易度の高いことなのです。


大山さんは、24歳の時にたまたま登った遠くの山から、雲海に浮かぶ黎明の富士山を見て…、その圧倒的な存在感に打ちのめされたのだと。
それから、富士山に魅入られてしまい、富士山一筋で写真を撮り続けてきたそうです。
2007年に放映されたこの番組の中で「今まで撮った富士山の写真は一万枚以上」と言っていたので、今はもっとたくさん撮っていらっしゃるのでしょうね。

大山さんは、富士山麓に、富士山の全体が見えるような(まるで銭湯の絵のような!)大きな窓のあるドーム型の住居を建てて住んでいるそうです。いつでも富士山を撮影しに行けるようにしているのだとか。私も、そんな家に住みたいです…、(憧)

私は大山さんほどの情熱と行動力はないけれど、「富士山に対する、恋焦がれるような想い」は、近いものがあるのではないかと。
大山さんが番組中で語っていたことは…、私の富士山に対する思いと、すごく似ていたのです。


「下から見た富士山と、山を登っている富士山というのは、全然もう、世界が変わっちゃうんですね。自分が知ってた富士山とはまた全然違う富士山が、そこにはあるわけじゃないですか。そこになんかすごく、魅力を感じたわけですよ。」

「すべてが知りたい、となるんですよね。あらゆる角度からですね、あらゆる距離から、時には引いて、時には迫って、時には山頂の上に行って、とかね。すべての富士山を知りたい、っていう気持ちになってしまったんですよね。」

「冬の富士山っていうのはやっぱりあの、人を寄せ付けない、その激しさ、厳しさ、まあそういうところに自然と憧れていったと思うんですよね。なんたって人が見てないわけですから、そういうことでは自分しか見せてくれない姿でもあるわけじゃないですか。
そういうところに、富士山がね、”大山さん、来て。冬で厳しいけど、来て”って。まあ、そんなような感じですよね。だから、呼ばれてしまったっていうかね。」

「絶対あそこには、神がいますよ。山頂には絶対、神がいます。ええ。冬の神がいます。出会いたいですね」



こう、語っていた大山さんは…、
それは確かに、「富士山」にどうしようもなく惹かれてしまっている人の、恋する表情だったのです。

オフィシャルウェブサイトの写真に、英語の説明がついているのですが…
そこには「富士山が私を誘惑した」と、英語で書いてありました。
ああ、すごくその表現はわかる、と思いました…。


そして「富士山に恋する」大山さんが切り取った富士山の風景に…、私も、恋をしてしまったようです。
「富士山だけ」を、長い間追い続けた人だからこそ撮ることのできた写真の…
その美しさ、神々しさ、厳しさに…、わたしは、魂を揺さぶられました…。


大山さんの写真集はたくさん出ているのですが、買ってみようと思っています。
財力があれば、全部買いたいくらいですけど…、写真集って高いんですよね!(^^;

神さぶる山へ―語りつぎ 言い継ぎ行かん 富士の高嶺は - 大山 行男
神さぶる山へ―語りつぎ 言い継ぎ行かん 富士の高嶺は - 大山 行男

富士 - 大山 行男
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富士山 宇宙への連なり - 大山 行男
富士山 宇宙への連なり - 大山 行男


もともと「富士バカ」な私が、ますます、富士山の魅力を再認識してしまいました…。
「白い魔境 冬富士」は、いい番組でした。



最後に、本日の一枚です。

1/25 7:27 河口湖勝山カメラ より。
…さあ、富士山はどこでしょうか?
IMG_8668.JPG
こんな「ちらっ」とした富士山ですら、素敵なんですよね♪
※この写真は、富士五湖テレビの「富士山ライブカメラ」からのものです。

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posted by はなずきん at 11:44 | Comment(0) | 登山よもやま話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする