2018年11月14日

「押井守」監督の作品が好きです。

先日、2001年宇宙の旅の話を書いた時に、私が「好きな監督二人のうちの一人」として押井守(監督)と書きましたが…
平成30年宇宙の旅〜私と主人と映画と。(前編)

この押井守という監督は、映画やアニメファンには名前が知られていますが、普通の方にはほとんど縁がない監督だと言っていいでしょう。

今でこそ「巨匠」扱いされていますが、それは「攻殻機動隊」(アニメ映画)がヒットしてからのことで…
それも、攻殻機動隊は日本での評価は最初はイマイチだったのです。しかし海外の評価が高かったので、日本でも見直されたという感じでした。(どうして日本人って海外の評価に弱いんでしょうね!!)
「攻殻機動隊」以前の作品は、一部のマニア受けはしていたものの知名度もあまり高くはなく、作品を知っている人であっても、かなり「好き嫌い」の分かれる作風なのです。


しかし、私にとっては…だいぶ以前から、かなり好きな監督であったのです。
私が最初に「押井守」の名前を意識したのは、テレビアニメの「うる星やつら」からでした。

私は中学生の時に「超時空要塞マクロス」をきっかけにアニメにはまり…
高校生の時にアニメの「うる星やつら」を見ていました。

当時大学生だった長兄は「宇宙戦艦ヤマト」世代でサブカル好き。アニメオタクではありませんでしたが、少女漫画が好きだったり、家には「OUT」(オタク系情報誌!?)などが転がっていました。
この頃は、兄弟3人でアニメを見ては、あれが面白いのどうのといろいろ盛り上がっていたのです。

私はもともと、高橋留美子の「うる星やつら」の漫画が好きで、何かというとラムの絵を描いていたのですが(笑)、アニメもやっているというので、途中から見始めました。
漫画自体が「ナンセンスギャグ」な作品で、アニメの初期の頃はその雰囲気が良く出ていましたが、そのうち、アニメのほうでは原作にはない、シュールな話が時々入ってきていたのです。

原作とはまた違う雰囲気の、独特のセンスと面白さ。
それに興味を持って、制作している人たちを調べてみたら…「うる星やつら」のテレビアニメのチーフディレクターが「押井守」だったのです。
その後押井守とたびたび組む「伊藤和典」脚本の回は特に、「押井守っぽさ」が出ていたのではないでしょうか。


そして…
「うる星やつら」の2作目の映画である「ビューティフル・ドリーマー」では押井守が監督でした。
これを見て私は完全に「ノックアウト」されてしまいました。

「うる星やつら」は、ヒロインである宇宙人ラムと、ラムが好きな浮気性の「あたる」、その周囲の人々を巻き込んだコメディです。
「ビューティフル・ドリーマー」のあらすじはこんな感じです。(※結末までネタバレしています!ご注意ください)

ラムあたるの通う「友引高校」では、生徒が泊まり込みで文化祭前日の準備に追われていた。
ただでさえ忙しいのに、ラムやあたるが余計な騒動を起こしたりして、担任の「温泉マーク」先生は疲弊しきっていた。
しかし…何度も同じような事が繰り返され、いつまで経っても、文化祭当日にならない。”もしや、文化祭前日が繰り返されているのではないか?”…ということに、温泉マークは気づいたのだ。
温泉マークは保健教諭にして巫女の「サクラ」に相談して、解決の糸口を得ようと生徒をすべて校内から締め出して帰宅させることにした。
しかし、あたるの友達である「メガネ」達はどうしても自宅にたどりつくことができず、メガネ達全員はあたるの家に泊まって翌日登校をするが、ふたたび学校は文化祭前日に戻っているのであった。

その日の夜の校内では、奇怪な現象が続いていた。
サクラとあたる達は、生徒の一人である「面堂」(財閥の御曹司)の自家用の戦闘機ハリアーを使って友引町からの脱出を試みるが、空から見た友引町は「巨大な亀の上に乗った町」となっており、亀の上で町を支えているのは、石像となった「温泉マーク」と、サクラの叔父である坊主の「錯乱坊」だった。
そして、友引町の外の世界はすべてなくなっていた…。

しかたなくハリアーで友引町に戻ってみると、そこは無人の廃墟になっていた。
学校は池に沈み、街は荒廃している…しかし、あたるの家と家族と、その近くの無人のコンビニだけはなぜか「普通に」存在するのだった。
誰も生活していない廃墟なのに、水も電気も食料にも困らない共同生活。

ラムとあたる、メガネたちは、学校にも行かず遊び回れるこの世界の生活を満喫していたが、この状況に納得の行かない面堂とサクラは、この世界の謎を解こうとする。

この世界を作っていたのは「人の夢を作る妖怪」夢邪鬼(むじゃき)の仕業だった。
長い人類の歴史の中で、いろんな人の夢を叶えては裏切られてきた「夢邪気」は、ラムの純粋な夢を叶えるためにこの世界を作ったのだった。
ラムは「あたるやみんなと、ずっと楽しい生活を送りたい」と言っていたのだ。

あたるは「この夢の世界を守りたい」夢邪鬼と取引をするが、交渉は決裂し、あたるは「それなら現実に帰る」と、夢を食べるバクを呼ぶラッパを吹き鳴らす。

ラムの夢をバクによって食べられてしまった夢邪鬼は、あたるに次々と悪夢を見せる。そして
「夢だから何度でもやり直しが利くんや」「自分の作り出す現実と何の違いもない楽しい夢の世界のほうがええやないか」
とあたるを説得しようとするが、あたるは現実の世界へ戻ることを望んだのだ。

あたるは、学園祭の準備で泊まり込んでいた友引高校で目を覚ます。隣りに寝ていたラムも目覚め、面堂やメガネ達と、ずっと一緒に楽しく過ごす夢を見ていたと語る。だが、あたるは「それは夢だ。夢なんだよ。ラム」と言い…
友引高校はやっと、学園祭初日を迎えた。

あらすじはかなり「ざっくり」書きましたが、この作品はどこまでが夢で、どこからが現実なのかという「繰り返し」が幾度も描かれます。
現実のようで、現実でない。夢のようで現実かもしれない…

うる星やつらのキャラクターとその設定を使っていながら、話の内容は「押井守色」そのまんまのこの映画。
原作者の高橋留美子からは、
”(『ビューティフル・ドリーマー』は)押井さんの『うる星やつら』です。”
と語っていて、自分の作品とは違うという想いを強く持っていたようです。
高橋留美子と押井守の考える「うる星やつら」にはテレビアニメ放映時からかなりの隔たりがあり、ふたりの間には相当、確執があったらしいですが…
「うる星やつら」の映画の中で、一番高い評価を受けているのは「ビューティフル・ドリーマー」であるのは確かでしょう。

押井守は、この映画を作った後、テレビアニメ版の監督を降りています。
私はそれ以降の「うる星やつら」のアニメは見なくなり、原作もいちおう読んではいましたがつまらなくなってきたなあ〜と思っていました。


私はこの「ビューティフル・ドリーマー」が、この後に続く、押井守の作品の「原型」であると考えています。
ぶっちゃけ、この後のどの押井守作品も「主題は全部一緒」と言ってもいいのではないでしょうか…。


自分が現実だと思っているこの世界は本当の現実なのか。
夢と現実の境とはなんなのか。
その区別に意味はあるのか。


どの作品にも、この共通した「主題」が流れているのではないかと思います。

※私は押井守の全ての作品を見たわけではないので、例外もあるかもしれませんが…


押井守の作品は、他にもいくつかの特徴があります。

まず、難解なセリフが多く、ストーリーもややわかりづらいです。
長ゼリフも多く、セリフの中に「ことわざ」や「故事成語」的なものもしょっちゅう出てきます。
ビューティフルドリーマーは、ベースが「うる星やつら」なので、まだわかりやすく作られているほうですが…

ほとんどの原作モノは原作の設定を作品中できちんと説明しているとは言えず、ある程度の予備知識がないと理解しづらいものが多いです。
「攻殻機動隊」もそのうちのひとつでしょうね。

攻殻機動隊の続編である「イノセンス」に至っては、影の主役?である「素子」がどういう人なのかは、前作を見ていないと全くわからないと言っていいでしょう。
本来ならば、この映画の中で一番感動するはずの場面である、「素子登場」のところが…一番わかりづらいのです(笑)


また、近年の作品においては、映像はかなり細かい部分まで作りこまれていることが多いです。
「虚構と現実のないまぜ」が主題であることが多いせいか、どこか幻想的で、やや冷たい印象の絵が多いです。

そして音楽と映像との「相互作用」には、相当のコダワリを持って作品を作っています。これ以上にそこにこだわっている監督は、私は見たことがありません。

押井守の作品のほとんどは「川井憲次」という作曲家の音楽を使っていますが…
「川井憲次と押井守は(作品上)切っても切れない関係にある」と私は思っています。

この時、押井守と川井憲次が出会っていなかったら、これ以降の作品は全く違うものになったのではないか…と感じるくらいです。


最初に川井憲次が音楽を担当したのは、うる星やつらの後に作られた実写映画「紅い眼鏡」からです。
「ビューティフル・ドリーマー」に続いてこの映画を見た私は…
やっぱり、この監督の作品が好きだと思いました。
こんな映画を作れる人は、他にどこにもいないでしょう。

「紅い眼鏡」は、限りなく自主制作に近い、押井守監督の初の実写映画です。
安い予算なのでほぼモノクロ、画面的にもやや単調で、かなりわかりづらいストーリー、難解なセリフの羅列、と、全く一般受けしなさそうな映画なのですが…私はこの映画と音楽がかなり好きで、サントラを何回聞いたかわからないくらい聞いています。
この「紅い眼鏡」の音楽は、この後の川井憲次のサントラの原型であって最高傑作と言ってもいいのではないかと思っています。

押井守が映画「攻殻機動隊」で有名になってからは「紅い眼鏡」もある程度名前が知られるようになりましたが、続編はあるものの、それまでは世間的にはほぼ評価されなかった作品と言ってもいいかと思います。
いや、今でもそんなに評価されていないですけど(笑)。

この「紅い眼鏡」のメインテーマとそっくり(豪華版?)な「Avalon」のテーマも好きです。
「Avalon」の作品そのものは、そこまで好きなわけじゃありませんが(映像は好きだけど、ストーリーがイマイチかと)、このテーマ曲はいいですねえ〜。

「イノセンス」は音楽と映像のマッチングが素晴らしく、映画館で見た時に鳥肌が立ったほどです。
特にバトーがプラント船の中枢部に突撃するシーンは…何度見ても凄いと思います。
ただ、音響にこだわりすぎているせいで、自宅のテレビでDVDを再生した場合にはそれが全然再現されないが非常に残念なのですが。


私は押井守の作品が「難解だから好き」なわけではありません。
私は、やたらとセリフで説明したがる小難しい作品は嫌いなのですが、押井守作品は、セリフが「ストーリーの説明」ではなく「話の世界観の表現」となっているからなのかもしれません。ちょっと舞台劇と似ている部分もあるのではないでしょうか。

ストーリーも「暗喩」的な表現が多く、話の結末も「それで?」と突っ込みたくなるような、わけのわからない感じの作品が多いです。
押井守のファンはその「暗喩」を読み解くのが好きな方が多いようですが、私は「謎解き」にはあまり興味はなく、映像やセリフから受けた「印象」を「面白い」「美しい」と感じているのです。

「2001年宇宙の旅」の監督、キューブリックともどこか似ている部分があると感じています。


私は「紅い眼鏡」の後の作品はけっこう見ました。
最近のものはちょっと違うかな〜と感じるので、あんまり見ていませんが。

私が見た作品はざっとこんな感じです。

うる星やつら オンリー・ユー
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
機動警察パトレイバー
MAROKO 麿子
機動警察パトレイバー 2 the Movie
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
イノセンス
スカイ・クロラ The Sky Crawlers
ダロス
天使のたまご
トワイライトQ 迷宮物件 FILE538
御先祖様万々歳!
機動警察パトレイバー NEW OVAシリーズ
紅い眼鏡/The Red Spectacles
ケルベロス-地獄の番犬
トーキング・ヘッド
アヴァロン



しかし全部が好きなわけではなく、あんまり好みでないものもあります。
テレビやOVAの「パトレイバー」は他の方との共同制作だったこともあり、中途半端な作品だったという印象です。
「天使のたまご」は本当に意味が全くわからないし、「迷宮物件」は駄作だと思います(^_^.)
「スカイ・クロラ」は「なんか違う」と思いましたし…。

前述したように「イノセンス」はかなり好きで、劇場に3回見に行きました。
音響に相当こだわりのある作品だったので、音響設備がいい映画館でもう1回見たいのですが、攻殻機動隊ほど世間受けしなかったと見えてリバイバル上映されることがほぼないようなんです。
この作品は、映画館の音響あってこそだと思うのですが…。

そして「御先祖様万々歳!」は全く一般受けしないと思いますが、かなりの傑作だと思っています。



そして、主人も「紅い眼鏡」が非常に好きだという話はこの間書きましたが…私より好きではないでしょうか。
主人と私が出会う前に、それぞれこの作品を見ていたわけですが、他にこの作品を好きだという人に会ったことがありません(笑)。

主人はかなり幅広く映画を見ているので、その中で「押井守が特に好き」かというと、微妙に違うように思いますが…。
押井守の作品の中で、いくつか強烈に好きな作品がある、といったところでしょうかね。


100人の人に押井守の作品を見せたら、「面白い」と言う人はたぶん1〜2人と言ったところでしょうね。
そもそも、70人くらいの人には「話が理解不能」「何が言いたいのかわからない」と思われ、残りの28人くらいの人は「話はわからないことはないけど、好みじゃない」と言うような気がします。

私も話にこめられているものの半分くらいはわかっていないんじゃないか、と思いますが、わからない部分を詳しく読み解こうともしていません。それでも好きだと感じて、どこか、私の奥底にあるものを刺激されるのです。
私は押井守の作品の解説はできませんけれども、「ファン」だとは言っていいのではないかと思っています。


なんだか、とりとめもなく結末もない話になってしまいましたが…(笑)
ご拝読、ありがとうございました。

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posted by はなずきん at 13:30 | Comment(0) | 近況 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする