2015年09月17日

母と子の剣道日誌(43)はなずきんの一番長い日〜市民剣道大会にて(その4)”試合は稽古のように”

この話は↓ここから続いています…。

母と子の剣道日誌(41)はなずきんの一番長い日〜市民剣道大会にて(その1)全然上手くなってない?私の剣道。

母と子の剣道日誌(42)はなずきんの一番長い日〜市民剣道大会にて(その2)大会参加の女性剣士は2人だけ!?

母と子の剣道日誌(43)はなずきんの一番長い日〜市民剣道大会にて(その3)緊張の、大会当日の朝



さて…
いよいよ私の試合です。

私は、相手がどういう方かの事前情報は全然入れていませんでした。
プログラムで対戦相手を確認したら、当市では抜きんでた実力を誇っている「N剣友会」の方ではなかったので、それだけはほっとしていましたが…
N剣友会は子供も大人も優勝常連で、都内でもトップレベルなのです。
ここの剣友会の方に当たったらほぼ負けるでしょ!みたいな強豪チームなのですよ。

私と相手の名前が呼ばれ、返事をして試合場に入ります。
この、試合を始める前の礼をする前に、相手が微妙にまごついている?感じがしました。
剣道の場合、この「礼」のあたりに手慣れているかどうかで、実力がどのくらいか、ほぼ想像がつきます。

そういう私も決して手慣れてはいませんが、初心者こそ、なめられないようここが肝心だ!と思っているので、礼の部分は剣道の実力よりも?しっかりやっているほうだと思います。
まあ、実力はないけどハッタリ効かせてるって感じでしょうか…
(強い人にはハッタリはすぐわかっちゃいそうな気はしますが…)

それに、礼がしっかりできている人は武士っぽくてカッコイイ!と思っているので、私は稽古の時もわりと力を入れて練習しています。これは、運動神経は関係ないですしね(笑)

礼の時にちょっと間が空いたのを見て、この人、そんなに手練れな人ではないのかな…?
と感じて、そこで少し余裕ができました。
でも、後で聞いたら、この方も遅剣の方ではありますが、当会のママさん指導者Iさんと同じころに始めて3段を持っている方なのだそうで…。それは、かえって聞いておかなくてよかったです(笑)


試合が始まる前に私は「今日は、稽古のつもりで面を打っていこう」と考えました。

剣道で良く言われる言葉…
「試合は稽古のように、稽古は試合のように」
つまりこれは、
稽古の時は、試合のように真剣にやりなさい、
試合の時は、稽古の時のように平常心でいつもやっている事をしなさい、
という意味なのだと思います。
難しい事ですけれども、できるだけこの言葉のようにしたいと思いました。


この間、N先生に習ったことを思い出して…
「面は右にそれてしまう事が多いから、むしろ左のほうを狙うつもりで打つ」
「相手の技の起こりを狙って、打たれる前に打つ。適当な無駄打ちはしない」

という事を意識しました。
そしてとにかく、声を出していきます!


何度か技を入れたり、入れられたりしながらお互い決まりませんでしたが…
試合開始後、1分くらい経った頃でしょうか。
(選手から見えるストップウォッチはないので、だいたいですが)

私が面を打って抜けて、後ろを振り返ったら、
「面あり!」
と審判が白い旗(私の側の旗)を、上げているのが見えました。


ええっ…!?
私の技が入ったの?




私は、始めて試合で一本を取ったのです…!


なんだか信じられません。
今までは「入ったかな?」と自分で思っていても、一本は取ってもらえない事ばかりでしたから。

それまで試合に集中していて、外野の声はほとんど耳に入っていませんでしたが、盛大な拍手が聞こえたのでそちらを見たら、応援に来ていたうちの剣友会の大人や子供たちが一杯いました。
大人女性以外は試合がない時間帯だったので、かなりたくさんの人が来ていたようです。

応援のみなさんも、私が一本取れるとはあまり思っていなかったのでしょう(笑)、それだけに「すごいな!」って感じで拍手をしているのが伝わってきます。
すごく嬉しくて「初めて一本取ったってだけでも、自慢できるかも!」って思いながら開始線に戻りました。



剣道の試合は、先に2本を取ったほうが勝ちですが、1本取っても時間切れ(大人は1試合3分間)になれば、1本取ったほうの勝ちですから、このまま1本守って逃げ切るという手もあります。
N先生は「一本取ったら、後はバカ正直に攻めていかなくてもいいんですよ。下手に攻めて取り返されるより、頭を使って勝てばいいんですよ」とよく言っていました。

でも、残りはたぶん2分間くらいあり、私にとってはかなり長い時間です。その間、自分から攻めずに守りきるのはちょっと難しいでしょう。だから、今回は守りには入らず攻めて行こうと思いました。
3分間の間にどちらも1本取らなかった場合や、1対1の本数だった場合は時間無制限の延長戦になり、どちらかが一本決めた時点で終わりになります。

ふと試合場の外に目をやると、N先生が試合場のすぐ横にいて、こちらを見ています。
N先生は、剣道連盟の用事があるので2Fにいますが、上から試合は見てますよ、と事前に言っていたのですが…。
ああ、ちゃんと私たちを見守ってくれてるんだ…と安心して、あらためて、恥ずかしくない試合をしないといけないな!と思いながら試合を続けました。



それからまた1分くらい経った頃でしょうか…
今度は、相手に小手を決められて、1本取られてしまいました。
一瞬「あ、もしかして負けちゃう?」と思いましたが…
でも、まだ1対1で、終わりではないですから、ここであきらめたくありません。
とにかく声を出して、攻めていきます。
とはいえ、今まで試合に勝ったことのない私ですから、また一本取られて負けて終わるのかもしれない、というあきらめも少しは胸にありましたが…。


そして、どちらも1本取らないまま、3分間が終わりました。
1対1なので、そのまま延長戦に入ります。
たった3分でも、ほとんど気を抜けない3分ですから、お互い気力も体力もかなり使っているのですが…
今こそ踏ん張りどころなんだ!と技を出していきました。

延長開始後、たぶん1分くらいした頃でしょうか。
面を打って抜けたら、審判が何か言っているのが聞こえました。
振り返ったら、審判の手の白旗が上がっています…!


えっ…!
ウソ!?

一本取れたの?
ということは、勝ったの!?私が?




半信半疑で開始線に戻ると、
審判が「勝負あり!」と私の側の白い旗を上げました。


最後の一本を取ってから勝負ありと告げられるまで、ほんの数十秒だったはずですが、その間にすごくいろんな事が頭の中をかけ巡っていました。


自分に旗を上げてもらうこと自体が、今までなかったことです。
まさか、勝てたなんて…1本を取った時以上に、なんだか信じられない思いです。

しかも、引き分けにされて、延長になってから一本取り返せたなんて…私がそんな事ができたんだ。
「取られてから取り返す」というのは、強い気持ちがないとなかなかできないよ、精神力があるほうが勝つんだよ、って私が子供に良く言っていることなんですが…
今まで勝てたことなんてないんだし、負けてもともと、とにかく攻めよう!という捨て身で行ったのが良かったのでしょうか。
よくやったじゃない、私、って思いました(笑)


なんだか、夢を見ているようです…。
開始線で竹刀を構えて呆然と立っていたら、応援のみんなの盛大な拍手が聞こえました。
あっ、最後の礼もカッコよくしなきゃ!と、気を取り直して…
しっかり蹲踞をして、できるだけ手慣れている感じで(笑)下がりました。


本当に勝ったんだ…、という嬉しい気持ちに浸りたいところですが、次は2回戦があります。
自分が2回戦に出るなんてちっとも思っていなかった私は、次にどこに行けばいいのかチェックしていなかったので、とりあえず自分の会の場所に戻ろうとしていました。
すると今の対戦相手の女性が「どうもありがとうございました」と丁寧にあいさつをしてきました。

「いえ、こちらこそ、ありがとうございました!」と言って別れたのですが、試合経験も少なく、次の試合に向けて余裕がなかった私は、対戦相手にお礼を言いに行くなんて考えもしませんでした。
まして、負けた側が勝った側に試合のお礼を言いに来てくれるなんて。

剣道で良くいう「勝って反省、負けて感謝」という言葉を、きちんと実践されている方なのだな、と感心して、自分もこれからはそうできるようになりたいな、と思いました。
いい勉強をさせていただきました。


さて…次は第2回戦です!

続きはこちら。
母と子の剣道日誌(45)はなずきんの一番長い日〜市民剣道大会にて(その5)いざ、第2回戦
posted by はなずきん at 00:41 | Comment(2) | 親子で剣道2剣友会編(1級まで) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする