2015年06月11日

少年剣道に入会する前に(5)剣道で身に着くもの(その1・礼儀編)

「少年剣道に入会する前に」をまとめていて、そういえばこれを書いていなかった!という事があったので、追加することにしました。

今回のテーマは「剣道で身に着くもの(その1・礼儀編)」です。
それと合わせて、デメリットについても書いていきたいと思います。


剣道の事で検索していて、ここにたどり着いた方は、おそらく「お子さんに剣道を習わせたい」と考えている方、もしくは子供が剣道をやりたいと言っているけど、習わせると実際どうなの?と考えている方が多いと思います。


親御さんが剣道をやりたい、やらせたいと考えていう場合、他のサッカーや野球などの一般的なスポーツを選ぶのとは、少し違うものを求めている場合が多いと思います。
私は他のスポーツをうちの子にやらせた事がないので、厳密には比較できないのですが、かなり違う部分も多いのではないかと思っています。
私は、自分でも剣道を始めてしまったくらいですから、その「違う」部分が大好きなわけですが…。人によっては合わないかな、と思う部分もあります。
実際、剣道を始めたものの合わずに辞めてしまう子も少なくはありません。

そこで、剣道をやると、具体的にどういうメリットがあるのか?
もしくは、どういう子には合う、合わないのか?
という事について書いていきたいと思います。

ただ、私は剣道を始めて2年ちょいの若輩者ですし、子供に習わせたのも数年だけです。
私自身の経験では、深いところまではわかっていないと思いますので、私の見解だけでなく、掲示板や経験者、指導者からなどの見聞を交えて書きたいと思います。



「礼儀は身に着くのか?」

剣道をやらせたい、と考える親御さんの多くは、はっきりと、もしくは漠然と「礼儀が身に着くのではないか」と考えて、それがひとつの目的であることも多いのではないかと思います。

実際のところ、他のスポーツよりは「儀礼的な所作」が多く、そういった面があるのは確かです。
きちんとした指導者のところで学ばせれば、他のスポーツ系の習い事をするのとは違う「礼儀作法」が身に着くのは確かだと思います。

うちの子は今の会を含めて、3か所の会に所属したことがありますが、中で一番ゆるかった最初の会でも、始める前と最後の正座(黙想)、礼、先生へのあいさつ、体育館への入退室時のあいさつ、などは必ず行われていました。
今から考えると、それでも剣道としては相当ゆるゆるでしたが…。


一番礼儀に厳しかったのは次に入った警察の少年剣道です。
警察でも、先生によりかなり差があって、そんなに厳しくない先生もいるのですが…
うちの子が教わった先生は、剣道はまず礼儀作法から、という方針だったようで、入会すると同時にまず「あいさつ」を叩き込まれました。

先生に会ったらとにかく大きな声であいさつ。見学に来ている親にもあいさつ。
それだけでなく、警察に入る時と出る時、道場に入る時と出る時、警察署内ですれ違う署員にもすべてあいさつ。しかも声が小さいと怒られます。

そして大人に対する言葉づかいは「ですます」口調でしゃべるよう言い渡されます。
低学年の子はたいてい最初はできておらず、何度も直されますが…。
そして返事はかならず「はいっ」です。「はーい」とか「うん」とかは許されません。答えるべき内容が否定形の時は必ず「いいえ」「わかりません」など、はっきりと言わねばなりません。
先生が何かを説明したら、必ず「はいっ」とすぐに返事しないと怒られます。
これは、礼儀作法というよりは、ある意味「とっさに反応する訓練」であったと思いますが…。

そして道場内での立ち居振る舞いなども細かく教えられました。
他の道場でも同じような事は教わるのですが、息子の習っていたところは作法にうるさかったほうだと思います。習った後もきちんとしていないと先生に注意されました。

道場内での並び方(等間隔で、隣の人と位置を揃えて並ぶなど)
座り方(左足を下げてから、腰を下ろす時につま先を立ててお尻を乗せてから座る、など足の運びが決まっています)
礼の仕方(軽い礼から深い礼の仕方まで教わります)
立ち上がり方(右ひざを立ててから立ち上がります)
竹刀をどちらに持つか、どのように持つかなども細かく決まっています。
竹刀を持つ時、置く時も、必ず膝をついてから行います。立ったまま床から拾ってはいけませんし、もちろん投げたりしてはいけません。置いてある竹刀をまたいでもいけません。
このあたりの立ち居振る舞いについては、礼儀というよりは「武術」としての心得です。いずれも、とっさの場合にも剣を抜けるようにするための行動なのです。

一年に一度、東京中の警察署の少年剣道部が集まる錬成大会があるのですが(全部で200団体くらい集まります)、開会式の時に上から眺めていると、ぴしっと並んでいる会と、そうでもないところがあります。
話が長引いたりした時にもきちんと立っているところと、そわそわして動き始めてしまう会があり…同じ警察の少年剣道でもけっこう違うものだなと思いました。息子のいたところは「きちんと立っているほう」でした。

そして、袴のたたみ方、防具のつけ方やしまい方なども、先生自ら、それぞれを数回かけて丁寧に説明してやらせて覚えさせます。今時の子は蝶結びすら怪しい子が多いのですが、そこからきちんと教えます。
ですから小学校低学年でも防具も自分でつけていましたし、いちおう自分の袴を畳めるようにはなっていました。
しかし、ここまでやってくれる先生は、かなり珍しいようで…
通常このあたりのことは、保護者が教わってやらせたり、会の先輩から教えてもらう事が多いようです。

しかし先生の言うことはほぼ「絶対」で、理不尽と思っても従わねばならない空気でした。
この先生だったから、という部分はかなり大きいようですが、警察であるということもあり、ちょっと「軍隊調」の空気であったのは確かです。
ややソフトではありましたが「体罰」的な事もよくありましたし、稽古中でなくても常にどこかピリピリした雰囲気がありました。
※保護者には最初からそういう方針であると先生は言っていたので、それが受け入れられる人しか入会してきませんでした。

今時そういうところはわりと珍しいと思うので、うちの子にはいい経験になったと思います。そこでずっと続けている子たちは確かに剣道も強かったし、精神力も鍛えられていたと思います。でも、根性ナシのうちの息子や娘にとっては居心地が良かったわけではないようです。

稽古や礼儀作法が厳しくても、他でフォローがあれば違ったのかもしれませんが…
残念ながら、あまりそういう部分はないのが残念なところでした。
でも、この警察での経験で身に着けたものはかなり多かったです。
礼儀作法、立ち居振る舞い、剣道の基礎知識などについては、どこに出しても恥ずかしくないレベルの事を教えてもらったと思っています。



息子がいた警察(警視庁内の署)は、先生が5年で異動するルールがあり、息子が辞めると同時に新しい先生に変わりました。
まだ警察で習っている人に、新しい先生はどうかと聞いたら、稽古量はかなり増えたけど、体罰的な事や厳しく叱られるというような事は全くないそうです。
そして礼儀は前ほどはうるさくなくなったとも聞きました。
同じ警察でも、先生により指導方針はかなり違うようです。



いっぽう、今いる剣友会は、一通り礼儀作法は教えてくれますが、それを守っていないからといって厳しく怒られたりすることはあまりありません。
全然できていない子には、こうしなさいと教えてはもらえます。
だから、きちんと守っている子はやっていますが、低学年で落ち着きがない子などは、あまりできていない子もいます。

とはいえ、大人や高学年の人はたいてい、習ったことをきちんと実行していますから、続けてさえいれば、見ているだけでも身に着くものはある程度はあるかな…とは思います。

その分、会の雰囲気は良くて、先生との距離が近い感じはあります。
先生に質問して怒られるなどという事はなく、相談などもしやすいです。
「すごくやる気がある」わけではないような子でも受け入れてくれる空気がありますし、私や息子のような、そんなに「ぱっと言われてすぐ出来る」ほうではない人間にとっては、こちらのほうが上達しやすい環境ではあると思います。




このように、同じ剣道といっても、教わる「礼儀作法」レベルは会や先生の方針により全く違います。
礼儀を重視したい場合は、会の雰囲気をよく観察しておくといいでしょう。
ピシッとしているところは、小さい子供でも並ぶ時は等間隔で同じ線に沿って並んでいますし、ぴしっと背筋が伸びています。
でも、厳しすぎるところは、子供の性格によっては全くついていけない事もあるので、子供に合わせてレベルを考えなければなりません。

ゆるい道場であっても、最低限でも、稽古の前の黙想や神前(または正面)に礼、などの事は必ず行いますし、服装も「袴」ですので、他のスポーツとは違う空気があるのは確かでしょう。
私などは、稽古前と後の正座(黙想)がないと稽古をした気がしないくらいで(笑)、そこが一番「剣道らしい」体験ではないかな、と思っています。
ですから、子供に「日本の武道」を体験させたい、という場合には、剣道は向いているのではないかと思います。



ただ、子供によっては、礼儀作法的な事が窮屈でしょうがなかったり、全然「日本の文化」とか「武士の作法」に興味がなさそうな子もいます。
そういう子はなかなか所作が身に着かず、注意される事も多くなるので、稽古に身も入らず、辞めてしまう子もけっこういます。
礼儀をきちんとすることはカッコイイことだ…と思えないお子さんには、剣道はあまり向いていないかもしれません。
逆に、戦うのが好き、武士に興味がある、日本っぽいのが好き、というお子さんにはぜひお勧めしたいです。




そして、実際うちの子はどの程度礼儀作法が身に着いたのか?というと…

息子は入会当初はあいさつも小さい声でしかできませんでしたが、大きい声であいさつできるようになりました。
場所によっては恥ずかしいのか、どこでもやっているわけではありませんが。
家や学校ではともかく、道場内での立ち居振る舞いはそれなりにできています。
正座も最初は短時間しかできませんでしたが、今はまあまあ長くできるようになりました。

また、木刀による型稽古を行う際には、座礼、立礼、構え方などに細かい作法があるのですが、きちんとひとつひとつの動作を丁寧に行う…という事も身に着いたと思います。

娘は目上への言葉づかいが全くできていなかったのが、多少はできるようになりました。
蝶結びすら怪しかったのが、防具や稽古着も、詰めは甘い(ゆるくて途中でほどけたりする)ですがいちおう自分で装着できるようになりました。

大会などで、開会式などで長時間整列していたり、自分がやる事がないのに待たされることは、普通子供は苦手ですけれども、そういう事にも多少はじっとしていられる耐性がついたような気がします。
大会の雰囲気も、おそらく他のスポーツとは違ったやや堅苦しい雰囲気があるのですが、そういう「儀式的」なものにも慣れました。

子供ですから、辞めて時間が経てば忘れてしまうのかもしれませんが…
大人になってから、「作法」の必要があるような時に、思い出すかな、という気がします。



「剣道で身に着くもの(その2・体力と精神力編)」に続きます。


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posted by はなずきん at 09:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 剣道お役立ち情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする