2013年06月16日

母と子の剣道日誌(3)竹刀は「刀」です

子供の剣道、第3話です。


子供が通っている道場では、剣道の竹刀は、本来は「刀」であることを教えます。
これはただの棒ではなく、刀であるから上下があります。竹刀には縦に一本、ヒモが渡してありここを「弦(つる)」と言うのですが、これは刀の背(刃とは逆の部分)に当たるものなのです。ですから、左手に下げて持っている時は弦は下にあり、前に構えた時は弦は上になります。

他にも竹刀の部位について「柄(つか、握る部分)」「柄頭(つかがしら、柄の先端部分)」「剣先(けんせん、竹刀の先端)」など、低学年の子供には少々難しい言葉も教えて、それらが真剣で言えばどこに当たるのかも教えます。


そして竹刀は「刀」であるから、大事に扱うようにも言われます。
置いてある竹刀をまたいで歩いてはいけない。

置く時は必ず右膝をついて置かなければならない。刀だから放りなげてはいけないのです。

竹刀を持って立ち上がる時は右足から。なぜかというと、刀を持って鞘(さや)から抜く時にそういう姿勢でないと抜けないからです。

竹刀には鞘はついていませんが、動作の基本はあくまでも真剣がベースなのです。ですから竹刀袋に入れる時は、柄が上で剣先が下になります。


最初は「細かい事から教えるんだな〜」とちょっとびっくりしましたが、もともと「剣術」に興味がある私には、こういった話はすごく興味深いことです。ふむ、なるほどそうだったのか、と感心しました。


前の教室ではこんなことは全く習いませんでした。竹刀を大事にしろとも言われないし、持つ時に弦が上とか下とかすらもです。今考えるとあれは「武道」ではなく「剣道ごっこ」ではないか、と思ってしまいます。

そういう部分がなかったから、私は見学していてつまらなかったのだなと思いました。「剣術の稽古」なのだと思ってみると、剣道は本当に面白くなってきます。



その頃折よく、父方の祖父の形見の「軍刀」が我が家にやってきました。

先日父が亡くなったと書きましたが、父が持っていた祖父の形見が我が家にやってきたのです。

父は7人兄弟で、5人は男性。父は男兄弟の中では一番下でしたが、他の男兄弟はすべて亡くなってしまったので、父のところに刀が来ていたというわけです。

私には兄が2人いて、私は末っ子です。普通なら長男である兄のところに行くものだと思うので、うちがもらってしまっていいのか…ということは考えたのですが、この刀はやはりうちに来るべきものだと思われました。主人も子供も武器がかなり好き、主人も私も江戸時代と剣術に興味あり。こんな家も普通はあんまりないでしょうから(笑)。


祖父は職業軍人で、日露戦争に出征しています。当時は軍から支給された、工業製品の「軍刀」を持っている兵が多かったようですが、祖父は自分できちんとした刀を揃えたようです。
ネットで検索してみたら、祖父の刀は江戸時代末の頃のきちんとした刀匠が作ったもののようでした。今度鑑定に出してみようと思っているのですが…。とはいえ、刀の刃は落としてあるのか、切れなくはなっているのですが。


刀のことが我が家で話題になったので、主人が自分で持っていた、みやげものの模擬刀を出してきました。模擬刀は、見た目はほぼ真剣ですが、刃はついていません。が、重さや長さは真剣とほぼ同じです。

真剣や模擬刀を持ったことのある方はあまりいないのではないかと思いますが、想像以上に重いものです。小柄な女性だとただ持って構えているだけでも大変なのではないでしょうか。


私は持って抜いてみようとしましたが、重くて長いのでなかなかうまくいきません。主人にやり方を聞いて(主人は誰に習ったのでもなく、自分で勝手に練習していたんですよね(笑))、私も抜き方を練習してみました。

抜く前に左手の親指で鍔を押し、鞘を外側に傾け、その状態で右手を柄にかけます。そして、薙ぎ払うように抜きます。抜く前に鞘を傾けるのがポイントで、なるほど、そうしてみると上手く抜くことができるのでした。
しまう時は、さやを握っている指に刀の根元の背を当て、先端のほうまですべらせてから、先端を鞘に入れます。

今まで時代劇などでも、刀の納め方なんてあまり気を付けて見ていなかったのですが、なるほどよく見てみると確かにそうしています。なんだか楽しくなってきて、家で何度も刀を抜く練習、しまう練習をしてしまいました。

びしっと決まると(めったにそんなことはありませんが)カッコイイ!と思います(笑)。うーん、私やっぱりこういうのが好きなんですね…。最初は「すごく重い、こんなの振れない」と思って持っていましたが、何度もやっていると慣れてきて、さほど重く感じなくなってきました。


それを理解してから剣道の稽古を見ると、なおさら「なるほど〜」という感じになりました。
最初のうちは「竹刀を取るのにいちいち膝をつくなんてめんどくさいなあ」と感じていた私ですが、今では子供が竹刀をほおり出して遊んでいたりすると「これは刀で、武士の命なんだよ!大事にしなさい!」と怒っています(笑)。


余談ですが、真剣というのは所持しているだけでも届出を出さなければなりません。それをしないと「銃刀法違反」になってしまいます。「銃刀法」は正確には「銃砲刀剣類所持等取締法」だそうです。なお模造刀は届け出る必要はありません。
今回祖父の刀が我が家に来て初めて知ったのですが、届け出を出すのは、最初にその刀を所持していた人の住所地の「教育委員会」なのです。所持者が変わった場合は、最初に登録した場所の教育委員会に届け出を出すのです。

これは武器というよりは、文化財扱いなのですね。


ちなみに、銃のほうは警察に届け出ます。

住所地を管轄する警察署の生活安全課、銃砲行政担当係が担当なんだそうです。「鉄砲行政担当係」…そんなのがあるんですねえ…。


おっと、剣道からはだいぶ話がそれてしまいました。
しかし、剣道をやるうえで「これは刀なのだ」という考え方はかなり重要なようです。ただ棒を振り回して人に当てるスポーツではなく、剣を持って武士の心得を学ぶという「武道」なのです。

試合の判定なども、ただちょうどいい場所に当たればいいというものではなく、攻撃する意志をもって振った竹刀が当たる、ことを重要視しているようです。

中には「スポーツ」やただの「習い事」に近い考えになってしまっていて、そういうことを重視していない道場もあるような気がしますが。



ブログにいただいたコメントで、子供に剣道を習わせたいので参考にしたい、というお話があったのですが、私も今回のことでいろいろ調べてみて、道場によって、全然教え方も父母のやることも違う、ということがわかりました。
そのあたりの違いは、剣道未経験の親御さんには全くわからないことかと思います。私も全くわからなかったので、あまり深く考えず入れてしまったのですが…

主人も自分で剣道をやっていたとはいえ、親の立場で入れるのは初めてだったので、道場によりそこまで違うとは思っていなかったようです。


もしこれからお子さんに剣道をやらせたい、という方には、指導方針や親の負担等、いろいろな事項を検討してから道場を決めることを強くおすすめします。剣道の世界は比較的閉鎖的で、子弟の上下関係なども厳しいので、入れてから道場を変わるのはなかなか大変なことのようなので。

じゃあ何を検討したらいいの?という話については、また別の日に書きたいと思います。

posted by はなずきん at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 親子で剣道1警察編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする